愛猫の丸いフォルムって本当に可愛らしいですが、「歩くのがつらそう」、「うまく着地できない」など愛猫ちゃんの体が重そうだと感じていませんか? 動物看護師として15年間勤務してきた経験から、飼い主さんが本当に知りたい猫の肥満のリスクと、正しいダイエットの知識を分かりやすく解説します。 この記事を読んで、太ってしまう原因から、お家でできる無理のない運動の工夫までを紹介します。実体験に基づいた具体的な方法をご紹介しますので、猫ちゃんにも飼い主さんにも負担のない、のんびりペースの体型管理を一緒に見つけていきましょう。また、この記事からリスクを知っていただいて、予防にも役立てていただければ幸いです。
猫の肥満、何がそんなにダメなの?現状と隠れたリスク
なぜ太ってしまう?そして何が危険なのか
基本として、猫は自分で食べる量を調節して生活できる子がほとんどです。しかし、飼い主さんが選んでいるフードのカロリーと猫自身の消費カロリーのバランスが合わなかったり、避妊去勢済みであまりエネルギーを消費しないのにカロリーが高いものを食べていたりすると、少しずつ体重が増えてしまいます。
肥満になると、重い体重を支える関節に負担がかかり、関節炎など痛みの原因になります。また、肉球に負担がかかって皮膚が硬くなったり、歩く度にお腹が地面に擦れて脱毛してしまったり、飲水の減少からの膀胱炎や尿路結石と、日々の生活に地味なダメージが蓄積されていくんです。
猫特有の怖い病気「肝リピドーシス」
人間の肥満といえば糖尿病などの成人病をイメージしますが、猫の場合は少し事情が違います。猫特有の注意すべき疾患に「肝リピドーシス(脂肪肝)」があります。 これは、体にたっぷり脂肪を蓄えた猫が、何らかの理由で急にご飯を食べられなくなった時に引き起こされる重篤な肝臓の病気です。
動物病院で働いていた時、こんなケースをよく目にしました。 「誤って体に悪い観葉植物をかじってしまい、数日ご飯が食べられなくなった」 「家族の一人が独立して家を出てしまい、環境の変化のストレスで食欲が落ちた」 このようなきっかけで数日間絶食状態になるだけで、急激な栄養失調状態に陥り、人や犬と違って重症化しやすい肝不全を引き起こしてしまうことがあるのです。太っている子ほど、このリスクが高くなります。
うちの子は太ってる?適切な体型の見分け方とダイエットのポイント
ポイント1:お家でできる簡単ボディチェック
「適切な体型」といっても、細身で手足が長い猫もいれば、筋肉質で固太りなのが普通の猫もいて、種類によって基準は様々です。全体的な指針として、以下の3つをチェックしてみてください。
- 骨盤の骨の触り方:腰回りを撫でた時、適度に骨を感じられるか確認します。
- 歩く姿をチェック:歩いた時にお腹がだるんだるんと大きく揺れていませんか?(皮がたるんでいるだけのペロペロした状態なら問題ありません)
- 上からのシルエット:真上から見た時、ウエストにくびれはありますか?太ってくるとストレートになり、さらに進むとまんまるなフォルムになっていきます。

ポイント2:絶対に急がない!計画的なフード選び
猫のダイエットは、人間のように「今日から運動する!」と本人が決意して行えるものではないため、体調管理がとても難しいんです。 病院で肥満と診断された場合、数ヶ月から数年単位の長期計画を立てて少しずつ減量していく必要があります。急激なダイエットは、先ほどお話しした「肝リピドーシス」の原因になってしまうからです。
避妊・去勢をした猫は、カロリーを消費する臓器もなくなり、発情行動もなくなるため穏やかな生活を送るようになり、どうしても肥満になりやすい傾向があります。まずは「避妊・去勢済み猫用」など、適切なカロリーに抑えられたフードを選ぶことから始めてみてください。
(※減量目的でフードを切り替えをするときは、何ヶ月もかけて少しずつ混ぜる割合を変えながら、移行していってください。)
ポイント3:生活動線の工夫とのんびりした遊び
特別な運動時間を設けなくても、生活環境を工夫するだけで消費カロリーは増やせます。 お気に入りの寝床を家中のあちこちに作ってあげるのがおすすめです。ジャンプが得意な猫ちゃんには高低差をつけ、ジャンプが苦手な猫ちゃんにはスロープを設置してあげましょう。スロープの坂を上り下りするのは、結構地味な良い運動になります。
また、遊びの時間も大切です。元気なのに遊びたがらない猫は、極度の怖がりさんか、すでに太りすぎて動くのが辛い猫くらいしかいないと感じています。 猫は犬のように長時間の有酸素運動はできませんが、全く動かないのと時々動くのとでは大違いです。突然毎日ハードに遊ぶのではなく、猫の気分と飼い主さんのペースが合うところを探りながら、「時々思い出して遊んであげる」くらいののんびりしたペースで取り入れてみてください。
注意点・よくある質問
注意すべきポイント
自己流の急激な食事制限は絶対に避けてください。ご飯を急に減らされると、猫ちゃんが強いストレスを感じてしまいます。 「最近少し太ってきたかな?」と思ったり、ダイエットを始めようと思ったりした時は、まずは一度かかりつけの動物病院に相談してください。現在の正確な体重を測り、その子に合った適正体重と無理のない減量プランを獣医さんと一緒に立てることが一番の近道です。
よくある質問Q&A
Q. 運動嫌いで全然おもちゃに反応してくれません。どうすればいいですか? A. もしかしたら、おもちゃの好みが違うだけかもしれません。羽、ネズミ、ひもなど、色々な種類を試してみてください。また、猫は本来薄暗い時間帯に活動的になることが多いので、夕方から夜にかけて誘ってみるのもおすすめです。
Q. 多頭飼いで、他の子のご飯を食べて太ってしまいます。 A. 多頭飼いあるあるですよね。ご飯の時間は部屋を分けたり、ケージの中で食べてもらったりと、物理的に食事スペースを分ける工夫が必要です。少し手間はかかりますが、健康のためには大切なステップになります。
まとめ
・肥満は関節への負担だけでなく、重篤な「肝リピドーシス」のリスクを高める
・上からのくびれやお腹の揺れ具合で、日頃から体型をチェックする ・急激なダイエットはNG!フードの見直しと生活動線の工夫でのんびり進める
猫ちゃんのダイエットは、焦らずゆっくり、飼い主さんと猫ちゃんのペースで進めることが何より大切です。完璧を目指さなくて大丈夫ですよ。スロープを置いてみたり、思い出した時に猫じゃらしを振ってみたり、できることから少しずつ始めてみてくださいね。わからないことがあれば、いつでも動物病院に相談してください。一緒にのんびり頑張りましょう!
※本記事は情報提供を目的としており、診療行為ではありません。症状がある場合やダイエットを始める際は、必ず動物病院を受診して獣医師の指示を仰いでください。

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