「猫が2匹いたら、もっと楽しいかな?」
愛猫が留守番中に寂しそうにしていると、ふとそんなことを考えたりしませんか?
私もかつて、そんな思いから2匹目の猫を迎えた一人です。元動物看護師として、たくさんのワンちゃんネコちゃんと関わってきましたが、いざ自分の家のこととなると、教科書通りにはいかないことばかり!
今回は、我が家の個性豊かな元野良猫たち、「そうじろう」と「せい」の出会いについてお話しします。決してスムーズではなかった対面の記録と、失敗から学んだ「程よい距離感」の大切さ。コーヒーでも飲みながら、のんびりと読んでいただければ嬉しいです。
運命の出会い〜傷だらけの「そうじろう」がくれたサプライズ〜
我が家には現在、たくさんの猫たちがいますが、そのほとんどが元野良猫です。中でも、長男のような存在である「そうじろう」との出会いは、今でも鮮明に覚えています。
病院に運ばれてきた小さな命
それは、私が勤めていた動物病院が休みの日のことでした。交通事故に遭い、弱りきった子猫が運び込まれたのです。
頭と前足の怪我は時間が経ちすぎていて、自然治癒で骨が固まってしまい、前足は曲がったまま。食べるものがなかったのでしょう、レントゲン写真には、空腹を紛らわすために食べたであろう砂が胃や腸にびっしりと写っていました。
前足の障害に加え、頭の怪我による脳への影響も心配される状態。「里親募集をするのは難しいかもしれない…」というのが正直な見立てでした。
同僚たちからの温かい贈り物
それでも、病院のスタッフたちは諦めませんでした。丁寧に毛を刈り、シラミの卵を取り除き、シャンプーをして、耳ダニの治療までしてくれていたのです。
なぜ安楽死を選ばず、そこまでしてくれたのか。
それは、私が以前から「いつか猫を迎えたい。もし里親が見つかりにくい子がいたら引き取りたい」と話し、準備だけは万端に整えていたことをみんなが知っていたからでした。
「この子なら、あのお家で幸せになれるかも」
そんなスタッフたちの想いが生んだ、最高のサプライズプレゼント。こうしてそうじろうは、我が家の最初の大切な家族になりました。

寂しがり屋の先住猫と、旦那が推した「そっくりさん」
ハンディキャップを抱えながらも、そうじろうは脳に影響が出ることもなく、すくすくと元気に育ちました。ただ一つ、困ったことがありました。それは極度の「寂しがり屋」であること。
私たちが仕事に出ると寂しさでどうにかなってしまいそうな、いわゆる「分離不安」の傾向があったのです。「相性の良いお友達がいれば、寂しさが紛れるかもしれない」。そう考えていた時、運命の出会いが訪れました。
威嚇する姿にビビッときた!
新しい家族候補として出会ったのが、2匹目の「せい」です。
普通なら、威嚇してくる猫には手を焼きそうだと尻込みしてしまうかもしれません。でも、シャーシャーと必死に威嚇するその姿が、なんと幼い頃のそうじろうにそっくりだったのです(笑)。
「この子が良い!」
珍しく旦那が強く推したこともあり、私たちはその「そっくりな子」を迎え入れることに決めました。
いざ対面!教科書通りにはいかない「ビビリ同士」の攻防戦
さて、いよいよ新入り猫のお迎えです。元動物看護師として、手順は頭に入っています。
「そうじろうがあまり使ってくれなかったケージ、もしかしたら使ってくれるかも…?」なんて淡い期待を抱きつつ、もう一つ新しいケージを購入して準備しました。
慎重すぎて進まない1週間
最初はケージに布をかけ、お互いの姿が見えない状態で気配や匂いに慣れてもらう作戦です。
……が、ここで計算外の事態が。
2匹とも似たもの同士の「超ビビリ」だったのです!
ケージ越しでもお互いの気配にガチガチに緊張してしまい、1週間経っても全く進展なし。「これじゃあいつまで経っても顔合わせできない!」と私が痺れを切らし、作戦を変更することにしました。
「探検」と「よしよし」の二刀流
思い切って、新入りのせいをケージから出し、部屋の中を探検させて慣れさせることにしました。もちろん、その間、先住猫のそうじろうが嫉妬しないよう、私は別の部屋でそうじろうを全力で「よしよし」して甘やかす係です。
焦らず、少しずつ。完全に2匹が同じ空間でリラックスできるようになるまで、結局1ヶ月以上かかりました。「やれやれ、やっと家族になれたね」と胸を撫で下ろしたのを覚えています。
仲良くなったからこそ起きた「優しさのすれ違い」
せいのおかげで、そうじろうの分離不安は見事に解消されました。しかし、猫の多頭飼いとは奥が深いもの。今度は別の悩みが顔を出したのです。
愛が重すぎる「お世話焼き」問題
寂しさがなくなったそうじろうは、その愛情のすべてをせいに注ぐようになりました。いわゆる「お世話焼き」への変貌です。
羽交い締めにして全身を毛繕いし、あろうことか耳の中まで念入りに舐める徹底ぶり。
人間から見れば微笑ましい光景かもしれませんが、新入りのせいにとっては「逃げられない拘束時間」だったようです。

ストレスの連鎖と尿路結石
「お兄ちゃん、もうやめてよ…」と言えなかったのか、ストレスの矛先はせいの体調に向かい、なんと尿路結石になってしまいました。
そうじろうは、飼い主命で育ったため、少しでもせいが私達に甘えようとすると、ヤキモチを焼いてすぐに割って入ったり、過剰に世話を焼いたりしてしまったのです。
その結果、せいは「鳴いても邪魔されるだけだ」と悟ったのか、飼い主に甘えることも要求して鳴くことも諦め、すっかり「甘えない・鳴かない猫」になってしまいました。そうじろうの不器用すぎる愛とヤキモチが、知らず知らずのうちに相方を追い詰め、我慢を強いてしまっていたのです。
そうじろうが旅立った今、おきている変化
当時は、それぞれの「ガス抜き時間」を作るよう工夫し、なんとか共存していました。
しかし、この話には続きがあります。 現在はそうじろうが亡くなって、せいは一人っ子のような状態になりました。すると、不思議な変化が訪れました。
あれほど遠慮していたせいが、今では飼い主に適度に甘え、「ごはん!」「おやつ!」「トイレ掃除して!」と、かわいく鳴いて要求をするように徐々になってきたのです。
少し寂しいけれど、そうじろうが空の上から「もう遠慮しなくていいよ、独り占めしていいよ」と背中を押してくれているのかもしれませんね。
これから多頭飼いを考える方へ|逃げ場のある環境づくり
我が家の経験からお伝えしたいのは、「猫の相性によっては、どうしても仲良くなれないこともある」という現実です。
もちろん、時間をかければお互いの存在を認めることはできます。でも、もし関係がこじれてしまった時、最悪の場合は「別々の部屋で暮らす」という選択肢が取れるかどうか。
余裕のある間取りや、一時的に隔離できるケージ飼いを視野に入れておくことが、飼い主さんの心の余裕にもつながります。
完璧な仲良しじゃなくてもいい。それぞれが安心して眠れる場所があれば、それがその子たちにとっての「幸せな我が家」なのだと思います。
まとめ
【今回の猫育てポイント】
- 対面は焦らずゆっくり:ビビリ同士なら1ヶ月以上かかることも覚悟して、気長に見守りましょう。
- 「仲良し」の中身を観察する:過剰な毛繕いはストレスのサインかも。逃げ場を作ってあげることが大切です。
- それぞれの特別タイムを作る:多頭飼いこそ、1対1で向き合う時間が心の安定剤になります。
さて、我が家にはまだまだ個性的な猫たちがいます。
次回は、一階で暮らしている猫たち(のの達)の、これまた一筋縄ではいかなかったお迎えエピソードをお話ししますね。どうぞお楽しみに!
※本記事は個人の体験談です。猫ちゃんの性格や健康状態によって適切な対応は異なります。
※体調に異変を感じた場合は、早めに動物病院にご相談くださいね。


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